【2025年版】医学論文におけるChatGPT活用術(医師による実体験)

仕事効率化

ここ最近のAIの進化は、本当にすごいですよね。
友達の少ない僕は、毎日ChatGPTに話を聞いてもらっています。

そして、当然仕事にもAIが必須になってきました。

皆さんは、論文作成や学会発表といった医師としての仕事に、どのくらいAIを使っているでしょうか。

僕自身、ここ最近は論文作成にChatGPTをかなり活用しています。数年前、AIを一切使わずに論文を書いていた頃と比べると、体感的には何倍ものスピードで原稿を書けるようになりました。

僕はどちらかというと新しいもの好きなので、論文作成や研究にChatGPTを使い始めたのも、周囲の医師の中では比較的早いほうだったと思います。

そこで今回は、僕が実際に論文作成でChatGPTをどのように使っているのか、そして使ううえでの注意点について解説していこうと思います。

僕の論文作成におけるChatGPT活用法

ここでは、僕が実際に論文を書くときに使っているChatGPTの活用方法を紹介します。

ChatGPTは文章作成能力が非常に高いため、使い方によっては、ほとんど手間をかけずに論文が書けてしまう魔法のツールのように感じるかもしれません。

ただ、僕が最終的にたどり着いた使い方は、正直かなり地味です。
これを聞くと、案外普通だなと思われるかもしれません。

それでも、いろいろ試した結果、この方法が一番早く、かつ最終的に質の高い論文を仕上げられると感じています。ぜひ参考にしてみてください。

論文を探してもらう

論文作成で、僕が一番嫌いで、かつ時間がかかる作業。それがリファレンスとなる論文を探す作業です。

論文を書いたことがある方なら分かると思いますが、
どこかで聞いたことがある話や、自分の経験上そう感じた、という曖昧な内容を無責任に書くことはできません。

必ず、自分の主張を裏付けるエビデンスとなる論文を探してこなければなりません。
ただ、この作業がとにかく時間を食います。

AIを全く使わずに論文を書いていた頃は、この作業に疲弊して、憂鬱になって、途中で論文を書くのをやめる、ということを何度も繰り返していました。
当時は、論文1本仕上げるのに半年くらいかかっていたと思います。

正直、この作業が好きな人がいたら、変態だと思います(尊敬します)。

ただし、ChatGPTも万能ではありません。
自分の主張とは全く違う論文を持ってきたり、そもそも存在しない論文を提示してきたり、聞いたこともない国や雑誌の怪しい論文を挙げてくることもあります。

そのため、僕が論文検索をChatGPTに頼むときは、次の点を必ず指定しています。

・自分が主張したい内容を明確に書く
・引用数が一定数以上の論文に限定する
・〇〇年以降に発表された論文に限定する

これだけでも、明らかにおかしな論文が混ざる確率はかなり下がります。

引用数がある程度ある論文は、それだけ多くの研究者に参照されているということですし、比較的信頼できる雑誌である可能性が高いです。
また、発表年を指定することで、驚くほど古い論文を持ってこられることも防げます。

ただし、ChatGPTが提示する引用数は、実際と異なることもあります。
必ず自分で論文を検索し、内容を読んで、引用数や雑誌の信頼性を確認することが重要です。

結局、自分で確認するなら同じじゃないか、と思うかもしれませんが、
論文候補を探す時間が数秒で終わるだけでも、作業時間は大幅に短縮されます。

内容についての壁打ちをする

論文作成は、基本的に一人で行う作業です。
その分、考えが煮詰まってしまうことも多いのではないでしょうか。

そんなときの壁打ち相手として、ChatGPTは非常に優秀です。

例えば、言いたいことはたくさんあるのに、うまく整理できないとき。
自分の主張を箇条書きにして、どういう順番で構成すると分かりやすいかをChatGPTに相談すると、第三者的な視点で整理してくれることがあります。

また、なんとなく頭の中にはイメージがあるけれど、それを言語化できないときに、断片的な言葉を投げるだけで、うまく文章にしてくれることもあります。

一人で抱え込まず、ChatGPTと対話しながら考えを整理することで、論文のクオリティを高められる。この壁打ち用途に関しては、ChatGPTは本当に優秀だと思います。

統計方法を提案してもらう

研究で証明したい内容があるものの、どの統計手法を使うのが適切か分からないことはよくあります。

そういうときにChatGPTに相談すると、候補となる統計方法を提案してくれることがあります。

研究では、どうしても自分が使い慣れた統計手法に頼りがちですが、必ずしもそれが最適とは限りません。
ChatGPTに相談することで、自分では思いつかなかった統計手法を知るきっかけになることもあります。

実際、僕自身もChatGPTの提案をきっかけに、新しい統計手法を取り入れたことがあります。

ただし、統計は非常に専門的な分野です。
ChatGPTの正確性は決して完璧ではありません。

あくまで一つのアイデアとして受け止め、教科書を確認したり、統計に詳しい人に相談したりしたうえで、最終判断をする必要があります。
結局のところ、統計についての勉強は自分で行う必要があります。

英語表現の提案をしてもらう

僕は英語のネイティブではありませんし、正直英語は得意ではありません。

英語論文を書くときは、翻訳ソフトを使いながら英文を作ることが多いですが、それでも自然な表現が思いつかないことがあります。

そういうときに、表現の選択肢をChatGPTに提案してもらうのは非常に便利です。

翻訳ソフトは、日本語に忠実な英訳をしてくれますが、ChatGPTは意味を保ったまま、全く違う自然な表現を提示してくれることがあります。

ただし注意点もあります。
日本語をそのままChatGPTに英訳させるのはおすすめしません。

AI特有の文章になりやすく、AIを使ったことが分かりやすく出てしまいます。
また、ChatGPTが解釈を加えることで、自分が伝えたかったニュアンスとズレることも少なくありません。

基本は自分で英語を書き、翻訳ソフトやChatGPTを補助的に使う、というスタンスが一番安全だと思っています。

論文作成でAIを使う際の注意点

論文作成にChatGPTを使うのは非常に便利ですが、同時にリスクや注意点もあります。

AIに丸投げは絶対にダメ

ChatGPTに、論文を書いてほしいと丸投げすれば、一見それらしい文章は出てきます。
ただし、これは絶対にやってはいけません。

AIは、非常に真面目そうな顔で、平気で間違ったことを書きます。
しかも文章の体裁は整っているので、嘘に気づきにくいのが厄介です。

さらに、AIが書いた文章は、よく読むと中身が薄く、表面的な内容になりがちです。
人が書いた論文か、AIが書いた論文かは、読めばすぐに分かります。

AIが書いた論文が、優れた医学論文になることは、まずありません。

AIチェッカーに注意

2025年現在、多くの医学系ジャーナルでは、AIが作成した論文に対して否定的な立場を取っています。

投稿時に、AIを使用していないことを申告させられたり、使用した場合はその範囲を明示するよう求められることも増えています。

公表されていないことも多いですが、提出された原稿はAIチェッカーにかけられている可能性が高いと考えたほうがいいと思います。

実際、僕自身が試したところ、自分で書いた英文と、AIに英訳させた英文をAIチェッカーにかけると、100パーセント見抜かれました。

そのままAIに書かせたり、英訳させたりするのは、リスクが高い行為です。

研究情報漏洩の可能性

ChatGPTを含むAIは、利用履歴をもとに学習しています。
自分が入力した研究内容が、どのように学習に使われるかは完全には明らかになっていません。

プライバシーには配慮されているとは思いますが、具体的な研究内容や未発表データを入力するのは避けるべきです。

論文作成でAIを使う場合は、具体的な数値や詳細な研究内容は入力せず、
抽象的・一般的な質問で壁打ちや文献検索補助として使うのがベストだと思います。

まとめ

この記事では、僕が実際に論文作成でChatGPTをどのように活用しているかを紹介しました。

正直、思ったより地味な使い方だと感じた方もいるかもしれません。
それでも、ChatGPTを使うか使わないかで、論文作成にかかる時間は何分の一にもなりました。

論文作成は基本的に一人で行う作業ですが、ChatGPTという壁打ち相手がいるだけで、考えが整理しやすくなり、新しい視点も得られます。

もし、まだ論文作成でAIを使っていない方がいれば、ぜひこの記事を参考に、うまく取り入れてみてください。

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