2024年1月から放送されたテレビドラマ「となりのナースエイド」を現役外科医である私が解説します。
医療ドラマって面白くてついつい観てしまいますよね。ただ、医療ってなかなか馴染みのない世界なので、「これって実際の医療現場でもあり得るの?」とか、「ここよく分からなかったから詳しく知りたい!」とかって事ありませんか?
そのため、「となりのナースエイド第5話」をゆるりと、正直に解説しようと思います。知識の補完として観てもらえたら嬉しいです。
この記事は、あくまで医療に関する内容の補填のため話の内容には触れませんが、一部にネタバレを含む可能性があります。そのため、ドラマを観てから記事をお読みください。
ナースエイドってどんな仕事?は第1話の解説でおこなっていますので、そちらも参考にしてみてください。
オームスのような治療法ってある?
ありません。現実世界にある似たような治療を考えてみましたが、思い浮かびませんでした笑
強いて言えば、光免疫療法を参考にしているのでしょうか?
光免疫療法は光に反応する薬を投与し、癌にレーザー光を当てて薬を癌に誘導して治療する方法です。
新火神細胞を術者がVRゴーグルをつけて癌の病巣に誘導するというオームスと似てると言えば似ています。
光免疫療法は現時点で「局所進行癌」に対して行われます。つまり、癌が1カ所に留まっている時にだけ使えます。しかし、オームスは架空の病気であるシムネスに対し使う治療法です。シムネスは「全身に癌の病巣が広がる病気」ですから、そもそも適応が違います。
全身に癌が広がっているということは全身の血管やリンパ管など無数に癌細胞が散らばってしまっている状態ですから「病巣に誘導する」というのは難しい気がしますが、そこはフィクションですので温かく見守りましょう。
医者のヤバいアルバイトってあるの?
聞いたことはありません。私がごく普通の勤務医だから知らないだけの可能性はあります。
ただ、医者は資格によってある程度の収入が約束されている部分があるので、わざわざ違法な仕事をするリスクをとって収入を得ようとする人は少ないと思います。
自分がした一番ヤバいアルバイトですが、完全に合法な仕事ですが、
コロナ関連の仕事で、数時間の勤務で26万円頂ける仕事がありました。
コロナ関連の仕事は最近少なくなりましたが、最初の頃は感染のリスクが伴う仕事には高い給与が支払われていました。
裏の世界の人に手術する事ある?
あります。ただ、実際に裏の世界の人と知って診療する事は多くないと思います。
裏の世界の方々も普通に病院に来て国民健康保険を使って診療を受けます。
その時、裏の世界の方々も「自営業」など、素性を明かすことはしません。
入れ墨や面会の方々を見れば医療従事者も「そっちの世界の方だ・・・」というのは当然気がつきますが、特に詮索はしません。
仮にそっちの世界の方と知ったところで患者さんである以上他の方々と平等に診療します。
なので当然手術をすることもあります。
まとめ
となりのナースエイド第5話の気になったシーンを現役外科医の目線で解説しました。
説明した通り、実際の医療現場と違った点もいくつかありますが、私はその事が悪いとは全く思いません。むしろ、医療を忠実に再現しすぎると地味で、ドラマの面白さが半減してしまいますから、実際と多少違っていても面白い方が絶対いいです。
今の医療ドラマは医療監修が必ず入っているので、制作側も医療現場との違いを分かった上で内容とのバランスをとって構成していると思います。
なので、今後も面白い医療ドラマをどんどん作って欲しいと思っています。
何かの参考になれば嬉しいです。
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